今、洒落にならないレベルで銀行の凋落が進んでいます。
10年くらい前からその兆候はありましたが、マイナス金利導入とAIの進展などが叫ばれて以降、急激に銀行の立場は弱くなってしまいました。
今では地銀どころか、メガバンクまで青色吐息といった状況です。
なぜ、このような状況にまで陥ってしまったのでしょうか。
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収益が細った銀行は今、どんな状態なのか?
銀行は融資と運用という本業部分で利益を出すことができなくなり、従業員に言うことを聞かせるためのツールである「給料」を減らしていかざるを得なくなっています。
それは、すなわち本部の権力の弱体化を意味します。
それにより、ある出来事が今、銀行内では起こっています。
銀行で「唯一の資産」である人材の流出が止まらなくなっているのです。
そもそも銀行は、RPA(Robotic Process Automation=ロボティック・プロセス・オートメーション:定型業務を自動化する技術)により、人材の削減を図っていこうとしている最中でした。
それによって浮いた事務方の銀行員を営業へ転属させ、営業のテコ入れを図ろうとしていました。
ただ、今までずっと事務ばかりしていた銀行員に営業など行かせることなどできるのでしょうか?
おそらく無理でしょう。
そうして、間接的に辞めさせる方向へ仕向けようとしていたわけです。
しかし、それを上回るレベルで人材の流出が止まらず、今まさに焦っている最中です。
しかも、今辞める人材は大体が仕事がデキる人間ばかりです。
効率化を図ろうと目論むどころか、銀行業務自体が回らなくなるような事態に追い込まれています。
「唯一の資産」である有能な人材が流出し、将来見込みのある学生を採用することも困難となっており、銀行はまさに「沈没しつつある豪華客船タイタニック号」の様相を呈しています。
今になって、「従業員の働きがいを創造する」と言うようになってきていますが、時すでに遅し。
沈没しつつある船から、救命ボートに乗って必死に避難しようとする乗客で溢れかえった、「地獄絵図のような状態」になっています。
経営を立て直すために、銀行は今何をしているのか?
銀行は今まで潤沢な資金を元手に儲けていましたが、その屋台骨が崩れつつある今、融資や運用などで今までのように収益を得ることができなくなっています。
そして、まさしく今、その代わりになる収益の柱を築くための方法を必死になって探しているところです。
ちなみに、銀行が今まで練り上げた融資の代わりとなる収益の柱、それが下記のものです。
- 収益マンション融資
- カードローン
- クレジットカード
- 外貨預金
- 投資信託
- 保険
これらの商品は、はっきり言ってすべて「一般の人たちには必要のないもの」です。
投資信託や外貨預金は一般の人たちも購入するでしょうが、多くの人はもっと手数料が安いネットなどの証券会社を知っています。
それを知らない高齢者などをターゲットに銀行は高い手数料で攻め込んでいます。
俗に「情弱ビジネス」と言って、知識が乏しく、商品性を理解しきれていない人が、販売員から勧められて、手持ちのお金を搾取されるビジネス手法のことをいいますが、今の銀行はこういったことをすることで何とか食いつないでいるのです。
しかも、このような商品を国からのお墨付きをもらって販売しています。
銀行は「顧客本位の業務運営(Fiduciary duty)」としきりに言っていますが、実態は自分たちの収益確保の為に躍起になっています。
投資信託の販売において、コンプライアンス重視と言っていますが、実態は商品内容もよく分かっていない高齢者に対して回転売買(短期的な売却益を狙って頻繁に売買を繰り返し、その都度手数料を取る)させ、手数料を取るという「限りなくグレーなビジネスモデル」を黙認しています。
一つ言っておくと、投資信託の安定的な運用は、「長期保有」が原則です。
それを、短期間で売買させるなど、もってのほかです。
そして、もし顧客が持つ投資信託の評価額が下落した時には、「長期保有が大事ですから」と言って、今度は接触を避けようとします。
銀行員は、これらのニーズがなく、商品性も乏しく、マーケティングのかけらもない商品を売るように、本部から発破をかけられています。
銀行員は善意を犠牲にして、無理に販売しなければ評価を得ることができません。
まともな心の持ち主は罪悪感を感じて辞めていき、その場しのぎで上手くやってのける人間だけが残っていきます。
そして、「唯一の資産」であった有能な人材はどんどん流出し、負のスパイラルに陥っているのが今の銀行の内情なのです。
なぜ、思い切った改革ができないのか?
今の銀行は、融資と預金の利ザヤで儲けるという確固たる仕組みに匹敵する収益の柱もなければ、他社に抜きん出たシステム環境もありません。
それでは、まだお金と人材があるうちに、思い切った改革をすれば良いじゃないかということになりますよね?
しかし、それはできません。
できて、店舗の統廃合くらいです。
なぜ、思い切った改革ができないのか?
それは、銀行の上部組織がそもそも「超保身」だからです。
今、銀行で経営を担う組織は、もともと、「本部の言う通りに融資や投資信託を獲得」し、「余計なことをしてミスをしない」ことを忠実に守った結果、評価された者たちの集う組織により今の銀行が支配されています。
そのような組織にマーケティングなどを行い、銀行を根本から改革する力があるとは思えません。
それどころか、今だに半沢直樹めいた権力闘争を繰り広げているのです。
やってることは完全なる「時代劇」です。
そんなことをやっている間にも、銀行はどんどん体力を失っていきます。
銀行の衰退は起こるべくして起こっているのです。
これから就職活動をしようと考えている学生は「絶対に」銀行へ就職しようと思わないことです。
今の銀行は完全に「衰退産業」です。
今後、いくら日本が転職ありきの世の中になったとしても、軽い気持ちで銀行に就職しようなど決して考えてはいけません。
既に銀行で働いている人はどうすればいい?
それでは、今銀行で働いている人はどうすればよいのでしょうか。
それは、あなたの年齢と職種によります。
これから説明していきましょう。
ただし、その前にあなた自身が現時点でどれだけの社会的価値があるのか、言わば「自分の身の程を知る」ことは非常に重要です。
下のアプリは「ミイダス」という転職アプリですが、転職サービスは利用せず、初めの登録の段階であなたの現時点のスキルや職務経験などを入力することで、あなたの今の市場価値(推定年収)を調べることができます。
このサービスをうまく活用することでまず自分の社会的な位置を確認してください。
ちなみに、私の推定年収は約900万円でした。
自分の社会的価値が露骨に出ることから、尻込みするかも知れませんが、今の状況が分からなければ、先に進むことはできません。
考えている暇があったら、まずは手を動かしてみるべきです。
これで自身の市場価値も分かったことですし、ここからはあなたの今の年齢に応じた今後の身の振り方を説明していきましょう。
【20歳代】
20歳代のあなたは、定年となる約40年後、銀行というもの自体、存在しない可能性が高いです。
安定を求めて銀行に居続けるのは全くお勧めできません。
20代でまだ若いのですから、今から他の業界に転職しても十分やっていけます。
もし、銀行に入ってから3年以上経過しているのであれば、一定の社会経験もあるとみなされるので、早い目に転職活動を開始しましょう。
【30歳代】
30代のあなたも、定年までに銀行が残っている可能性は低いでしょう。
定年まで逃げきれない世代です。
一方、銀行に入って10年以上経過しているので、役付となって給料も上がっていることでしょう。
ある程度、経験も積んでいるので、この段階の人たちは転職に相当悩むことになりそうです。
そこで提案です。
もし、転職活動に不安があるのであれば、とりあえず副業でもやってみて、適性を見極めてみるのも良いかもしれません。
ただ、副業と言ってもアルバイトのような、時間を売ってお金を稼ぐようなものではありません。
自分が「事業主」となって、直接顧客向けにマーケティングをするような副業がオススメです。
詳細はインターネットでググってください。
銀行に勤めていても、上から言われた仕事を淡々とこなすだけで、自分から自発的に何かを生み出すような仕事ってないですよね。
なので、副業を通して直接お客さんのニーズを感じ取り、「自分の商品」として残せるような仕事にトライしてみましょう。
マーケット感覚を身につけるのは非常に重要です。
なお、大体の銀行では、「副業は禁止」です。
国が働き方改革の中で副業を推進しているにも関わらず、依然として銀行は副業が認められないなど、古い体質であることは理解しておかなければいけません。
ですので、副業をやるもやらないも自己責任ですが、銀行に勤めている限り絶対にできない経験ができるのは事実です。
副業である程度、適性を見極めてから、転職活動を始めるのもアリでしょう。
【40歳代】
40代のあなたは、20年前後銀行に勤務し、管理職に就いている人も多いでしょう。
一定の給料ももらっていることでしょう。
子供も成長してお金がかかる年代でもあります。
定年まで銀行が残っている可能性もあります。
ですので、転職など無理をしないのも一つです。
しかし、もし銀行が残っていたとしても、今のような規模で残っている可能性は限りなく低いでしょう。
単なる決済銀行になっているかもしれませんし、裕福層に特化した銀行になっているかもしれません。
規模が小さくなるということは、人も減るということなので、人員整理の可能性は高いでしょう。
そうでなくても40代後半はどの会社でも人員が余剰気味で、黒字リストラの対象とまで言われていた世代です。
この歳になってからの転職は正直厳しいですが、何か得意分野があると話は変わります。
法人融資に携わってきた人は、M&Aのデューデリジェンスなどができるレベルだと優遇されるでしょう。
投資信託や保険の販売が中心だった人は、保険会社などに転職できる可能性はありますが、ノルマ至上主義の厳しい仕事を覚悟しなければいけないかもしれません。
ローンや、預金などの事務に携わってきた人は、他に何か得意分野がないと転職活動自体が厳しいです。
この歳からの転職は「知識」や「経験」が武器となります。
転職に使える武器がないと、年収などで妥協せざるを得なくなります。
銀行の収入は一般企業に比べて高いので、同じような仕事内容であれば、大幅な年収減は避けられません。
これといった「武器」がない人は、焦って転職活動をするより、勉強や副業で経験を積んでおいた方が賢明といえるでしょう。
【50歳代】
これらの歳の人は、おそらく定年まで逃げ切ることができるでしょう。
非常に羨ましいですね。
「運」も実力のうちと言いますからね。
まぁ、今後年金がきちんともらえるかどうかは分かりませんが。
しかし、もし定年までの数年間のうちになんらかの形で「リストラ」されるようなことが起こると、目も当てられないこととなります。
この歳で拾ってくれるような会社を探すのは至難の技です。
ですので、なにがなんでも銀行にしがみついてください。
まとめ
銀行員はお金の計算をきっちりとする仕事なので、どんな企業からも引く手あまただと思っているかもしれません。
残念ながら、その考えは改めた方が良さそうです。
銀行員の仕事内容は非常に範囲が狭く、他業界では融通が利きにくいので、いざ転職活動となった際には苦戦が避けられません。
少なくとも、銀行で仕事をしていたという経験が、転職市場で有効に働くとは決して考えないことです。
私自身もあなたたちと同じ境遇の中で将来に不安を感じ、転職活動を行ってきましたが、どの企業も「銀行」での経験より、副業で培ってきたIT知識や語学(英語)知識を評価されての転職活動だったのが印象的でした。
今のあなたたちの人生の中で、大半の時間を費やしている「銀行業務」という経験は、他業界ではほとんど評価されません。
ですので、みなさん。今からでも遅くないです。
とにかく「勉強」を始めましょう。
何を勉強すべきなのかは、以下のリンクで紹介しています。
付き合い残業や会社の飲み会などはすぐにやめて、今後の自分の武器となる知識を身に付けるために少しでも時間を割くべきです。
仕事でも勉強でもそうですが、こういったページを見て考えていても、なかなかすぐに行動に移せない人は多いです。
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