箱根は日本有数の温泉地だということは皆さんご存知ですよね。
しかし、箱根の魅力は温泉だけではありません。
箱根の温泉や自然を楽しむためのツールが素晴らしいと言えます。
箱根は車がなくても公共交通だけで大体の観光地を周ることができます。
たとえば、
- 登山電車
- ケーブルカー
- ロープウェイ
- 海賊船
など、様々な楽しい乗り物に乗りながら、観光スポットを周ることができるのです。
また、洗練された美術館やカフェ、旅館が点在しており、温泉街を歩くだけで楽しくなるスポットがたくさんあります。
箱根は日常生活に疲れた現代人を心身ともに癒してくれる素晴らしい観光地です。
このブログでは、日本でも有数の観光地、箱根への旅行を控えているあなたのために、箱根の旅が120%楽しめるポイントをお伝えします。
是非とも、最後までお付き合いください。
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小涌谷駅から彫刻の森駅へ
小涌谷駅を出発した電車はいきなり、半径30mという箱根登山鉄道でもっとも急なカーブを通過していきます。
この辺りで車窓から外を眺めると、前の車両が目の前でカーブしているのを間近に見ることができます。
この大きなカーブを通過すると、箱根登山電車はいよいよクライマックスを迎えます。
なだらかな直線を、速度を上げながら走り抜けます。
右手遠くに大文字山を見ながら、手前に箱根彫刻の森美術館がお目見えします。
かなり至近距離を走るので、電車の中からも野外彫刻を見ることができます。
ほどなく、電車は彫刻の森駅に到着します。
この彫刻の森駅ですが、元々は「ニノ平」という駅名でしたが、1969年(昭和44年)の彫刻の森美術館開館により、1972年(昭和47年)に「彫刻の森駅」に改称されました。
せっかくなので、彫刻の森美術館に入ってみることにしましょう。
彫刻の森美術館へ
彫刻の森美術館は1969年(昭和44年)に開館しました。
日本初の野外美術館で敷地面積は約7万平方メートル(東京ドーム約1.5個分)で「彫刻庭園」という、芝生に彫刻を配置する形式を取っています。
野外を歩いていて分かるのですが、芝生の手入れが半端なくきっちりされているのが分かります。
そこら辺のゴルフ場では到底真似できないレベルの手の込んだ手入れ状況ですね。
しばらく歩くと、何やら湯気が見えてきました。
皆さん座りながら談笑しています。
ここでは足湯を体験できるのです。
みかんも浮かんでいて、本格的な足湯が楽しめるようになっています。
これは何の塔なのでしょか?
ステンドグラスが敷き詰められた円筒の建物の中に入ると、らせん階段が続いています。
なるほどこれは展望台だったのですね。
ここからは箱根の山々が一望できます。
雨上がりで芝生や木々の緑が綺麗でした。
この彫刻の森美術館はフジサンケイグループということもあり、館内ではフジテレビの番組が放送されています。
この彫刻の森美術館はここだけで一日中楽しめるスポットです。
箱根に行くなら、ぜひ寄り道してくださいね。
それでは、彫刻の森駅から一駅先、箱根登山鉄道の最終駅である強羅に向かいます。
強羅駅周辺を散策する
終着駅である強羅駅に到着しました。
この駅は駅構造が変則的で、ホームが一面であるにもかかわらず、手前と奥のホームで2編成の登山電車を捌けるようになっています。
そして、ホーム奥の左側はケーブルカー乗り場となっており、登山電車からケーブルカーへの乗り換えがスムーズにできるような配置になっています。
2番線ホームではスイスのレーティッシュ鉄道から贈られたカウベルを見ることもできますよ。
(Wikipediaより引用)
強羅駅はバスのターミナルにもなっており、駅の裏手にはバスが折り返しできるようにターンテーブルが設けられています。
駅舎はスイス風の山小屋っぽい建物で、駅前には蕎麦屋や土産屋などが軒を連ねています。
この通りを少し箱根湯本方面に進むと、箱根登山鉄道の踏切前に大きな旅館が現れます。
この強羅駅の目の前の好立地に位置するのが、旅館「季の湯 雪月花」です。
今日はこの旅館に泊まろうと思います。
箱根登山電車の豆知識5つ
それでは、今日乗車した箱根登山鉄道の豆知識5つをここで紹介したいと思います。
豆知識その1:どうして強羅駅からケーブルカーがつながることになったの?
強羅は早雲山の麓に広がる火山性の扇状地として、比較的緩い斜面が広がる土地です。
元々、この土地は明治中頃までは雑木林が生い茂る未開発地帯だったのですが、1911年(明治44)年、箱根登山鉄道の前身である小田原電気鉄道が強羅一体を取得した後に、温泉を引き、公園を整備して、一体をリゾート地として栄えさせようと目論んだのです。
(強羅公園)
別荘用の分譲地として裕福層に土地を売却することで、会社としても収益を上げたかったのでしょう。
ただ、この一帯は交通の利便性が悪く、これらの土地をスムーズに販売していくには、利便性の向上が避けられなかったのです。
そういった理由もあり、登山鉄道の開通に向けた動きが一気に進んでいったともいえます。
そして、当時の小田原電気鉄道は更にあることを目論みます。
この分譲地一帯の交通の便を図るということと、芦ノ湖方面への観光ルートを構築するという目的から、強羅駅を起点とするケーブルカーを作ろうということになったのです。
この箱根登山ケーブルカー(1921年開業)は1918年に開業した奈良県の生駒ケーブルカーに続く日本でも2番目に古いケーブルカーとなります。
途中、4つの駅が設けられていますが、これも分譲地の利便性を向上させるための策だったのですね。
豆知識その2:水を撒きながら走る電車
(箱根登山鉄道HPより引用)
登山電車が通り過ぎた後をよく見ると、線路の部分だけが濡れているのが見えます。
また、線路脇を注意深く見ていると、「散水ON」「散水OFF」の標識が所々に見えます。
実は、登山電車はカーブを通過している時にレールに水を撒いているのです。
なぜそのようなことをするのでしょうか?
箱根登山電車は最大半径30mの急曲線を曲がります。
その際にレールとの摩擦で車輪が急激にすり減ってしまいます。
通常の鉄道では、急カーブに油を塗って磨耗を抑えますが、それだと箱根登山電車は急勾配を下るので車輪が滑ってしまい、大変危険です。
ですので、水を撒くことで磨耗を防いでいるのです。
ちなみに、給水栓は箱根湯本駅と強羅駅にあります。
これらの駅の停車時、登山電車の前方にあるタンクに水を補給している様子をみることができます。
豆知識その3:いくつものブレーキ装置
箱根登山鉄道は、一般的な電車の車両で使われている「電気ブレーキ」「空気ブレーキ」「手動ブレーキ」に加えて「レール圧着ブレーキ」というものが使われています。
(箱根登山鉄道HPより引用)
この「レール圧着ブレーキ」というものは、箱根登山電車特有のものです。
台車の線路すれすれの部分に「砥石」が設置されていて、非常時にスイッチを押すと、これが線路に押し付けられて、急ブレーキがかかるという仕組みです。
ちなみに、このブレーキをかけると、電車が一瞬で止まってしまうくらい強力なものだそうです。
ちなみに、線路脇を見ていると「EB」という表示を目にすることがありますが、これはここから電気ブレーキを使って運転するようにという指示で、いわば車でエンジンブレーキをかけながら速度を落として坂を下っていく感覚で電車を操作する訳です。
箱根登山電車ではこの電気ブレーキを使いながら、わずかに空気ブレーキを利かせることで、下山時の運転の速度を調節していきます。
豆知識その4:人だけでなく温泉も運ぶ
箱根登山鉄道は箱根の観光輸送で一役買っていますが、それだけではありません。
箱根登山鉄道の終着駅である強羅地域一帯は箱根登山鉄道の前身である小田原電気鉄道が開発分譲しました。
しかし、この一帯は自然に湧出する温泉が少なかったことから、この欠点を埋めるべく、大涌谷の噴出蒸気に仙石原の湿地帯の水を流し込んでできた蒸気井造成温泉を強羅地域の旅館などへパイプを通して供給することになったのです。
箱根登山鉄道は「人」だけでなく「温泉」も運んでいるのです。
この温泉供給ですが、2019年(令和元年)10月の台風19号で、温泉の配管が破損し、一時供給を停止していましたが、同年11月には鉄道に先立って供給を再開しています。
豆知識その5:あじさい電車誕生の経緯
6月頃に登山電車に乗ると、沿線に多くのアジサイが咲き、箱根の初夏を彩っています。
このアジサイですが、元々は観光目的で植えたものではなかったのです。
箱根登山鉄道の線路際は盛土が多く、法面が雨で流されやすかったため、地中に根を張らせ土の流出を防ぐことができるアジサイの植栽がもっとも適していると考えられたことが根本にあります。
いわば、「土留め」のために植えられていたという訳です。
約2千株ほどが点在していましたが、観賞のためのアジサイとして乗客の評判が良かったことから、社員有志が休日などに植栽しはじめるようになりました。
1976年頃からは社内で「沿線美化委員会」が結成されるようになり、それ以降は社員総動員でアジサイのメンテナンスを行っています。
そういった努力の甲斐もあり、箱根登山鉄道のあじさいは全国的に有名になっていきました。
今では、約1万株のアジサイが乗客の目を楽しませています。
毎年、6月から全席指定席の「夜のあじさい号」の運行がスタートしますが、それに先立って行われる予約は運行開始前に大半が売り切れとなるほどの大人気ぶりです。
今は「あじさい電車」が箱根登山鉄道にとっても貴重な収入源となっています。
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